しばらくして落ち着いた私は、途端に恥ずかしくなり楠木から離れる。
「…大丈夫か?」
心配そうに私を見つめる楠木。
今までの余裕そうな表情とはまた違う。
「うん、ごめんね…恥ずかしいところ見られちゃったな」
照れ隠しに笑ってみせるけど、多分バレてるだろうな。
「別に謝ることじゃねぇよ」
そう言って、楠木は私の頭の上に手を置いた。
その手がゆっくり下ろされて、優しく撫でられる。
くすぐったい、でも嫌じゃない。
電車に乗る前は抵抗したくて仕方なかったのに。
何も言えなくてじっと見つめると、楠木に優しい眼差しを向けられる。
この目、見ていて温かいなぁ、なんて思ったり思わなかったり。



