冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




そんな私の手を、楠木は自分の方へと引き、さっきのようにまた私を抱きしめる。



今度は頭を撫でながら。



「お前は、頑張ってた。


怪我して辛いのはお前自身なのに、必死で笑おうとしてた。


それだけで十分だったのに、あいつら全員バカなんだよ。なんでわかってやらなかったんだ…」



どうして?
どうして楠木がそんな苦しそうに話すの?



中学の時、関わりなんてほとんどなかったのに。



バスケが好きな楠木にとったら、辞めた人間なんてどうでもいいはずなのに。



「第一なんでバスケが誰よりも好きなお前が、事故に遭わないといけねぇんだよ。


あんな言い方されないといけねぇんだ」



少し苦しいとさえ思ってしまう抱きしめ方だったけど、今の私には心地よくて。



涙がどんどん溢れてきて、止まらない。



今の言葉は冷たくなった心が温められて、さらに泣いてしまう。



こんな風に泣くことも、斗真の前ではなかったのに。



本当に不思議だ。



よりにもよって楠木の前でこんな泣いてしまうだなんて。



それぐらい、私をこうさせるには十分すぎたんだ。