冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「確かに懐かしいな、結局途中でやめたけど」
「辞めて当然でしょ。まあ怪我は可哀想だったよね」



私が辞めてからバスケ部のことは全く知らなかったから、今初めて本音を聞く。



結局辞めた、辞めて当然、可哀想。



何気なく言ってるつもりだろうけど、私の心に重くのしかかる。



「あー、だって恵美ずっとバスケ一筋!バスケバカ!って感じの人間だったもんね」



「毎日残ってたくない?
朝練も来てたし」



「どんだけバスケ好きなんだよって話だよね。


あ、でもさ、もしかしたら斗真くん目的で残ってたんじゃない?」



「案外楠木のことも狙ってたりして!」



「結局斗真くんと別れたし楠木は彼女いるし。
恵美撃沈じゃん」



「それは可哀想〜」



好き勝手言われて、だけど辞めてしまった私は何も言い返すこともできない。



悔しくて、そんな自分も小さくて嫌で。
ぎゅっと手を握る力を強める。