二人のスポーツバックには、バスケットボールのストラップがつけられていた。
『恵美の怪我のおかげでうちら試合出れたからさ、まじ恵美に感謝しないとね』
『うわー、その言い方ひどすぎ。
確かにそうだけど』
『だって恵美だったらずっと試合に出れて、うちらベンチだったじゃん』
間違いない。
その容姿も、声も。
中学の時、同じバスケ部だった二人のものだった。
私が怪我をした後、この二人が交互に試合に出ていたのだ。
『恵美の分も頑張って、必ず試合に勝つからね!』
『だから落ち込まないでほしい』
私の前では優しく声をかけてくれてた二人が、陰でそう言ってるのを聞いてしまい、苦しくなった。
今だって思い出すと苦しい。
そりゃそうだよね。
みんな試合に出たいに決まってる。



