「私に触れないでよ」
「うるさいお前が悪い」
ふっ、と楠木に小さく笑われる。
今回は私が悪いため、大人しく黙ることにした。
その中で、人は減るどころか増えていく一方で。
結局楠木と密着状態になってしまう。
頑張って離れてみようと試みるも、周りに押されて叶わなかった。
「諦めろって」
「……い、嫌だ…」
そんな私を見て、楽しそうに笑う楠木。
「そんな嫌がられると逆にいじめたくなるんだけど」
「なっ…、このドS!へんた…ふぐ…!」
また私が大きな声を出してしまうから、今度は楠木に手で口元を塞がれた。
「うるさいんだって」
「……んーっ」
じーっと睨んで離せと訴えるけど、もちろん笑ってくるだけ。
このドS野郎め。



