「怒ってんなら可愛い怒り方だな」
「うるさい!」
もうこいつの甘い言葉には騙されないぞ。
絶対にドキドキなんてしてやらない。
「あんた性格変わりすぎて恐怖ものだわ。
いつもの冷たい仮面のような楠木はどこへ行ったんだ」
今日の朝は不機嫌でいつも通りだったのに。
いつもの楠木の方がよっぽどマシだ。
関わらなくて済むし。
「なんだよそれ、冷たい仮面って例え方だろ」
ツボに入ったのかわからなかったけど、目を細めて笑う楠木に思わずドキッとしてしまう。
いや、ドキドキしないって誓ってばっかだけどさ、このギャップは無理じゃない?
一瞬可愛いとさえ思ってしまい、慌てて自分の頬をつねった。



