冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「拗ねてない、から」



思わず楠木から視線を外してしまう。
これじゃあ私が負けたみたいだ。



「なんで視線そらすんだ?」
「……っ」



「嫌いならずっと睨めばいいのに」
「う、うるさい…!」



追い討ちをかけるようなことを言ってくる。



だって嫌だから。
楠木に胸が高鳴ってしまった自分が。



容姿がいい楠木を恨みたい。



「意外と照れやすいんだ、お前って」
「照れてない!さっきからうるさい離せ!」



全力で楠木を押し返すけど、こいつの力は異常だった。



ビクともしない。
一応バスケやってたから力は弱くないはずなのに。



「もうなんなの!?
私を彼女にしたい目的を言え!


バカにしたいだけでしょー!」



投げやりにそう言いつつ、頑張って押し返していると結局昨日みたいに両手首を簡単に掴まれてしまう。