そんな彼の姿は、正直言って絵になる。
いくら彼のことが嫌いな私でも、かっこいいのは本当のことだしその容姿の良さは本物だ。
今だってぼーっとしてる彼をチラチラ見てる女子もいるけど、当の本人は全く気にしていない。
彼は私から見て、堂々としているように見えた。
そういうところも羨ましいし腹立たしい。
私も彼みたいに感情を表に出さず、堂々していたら、あの頃の出来事は回避できた?
ううん、きっと無理だ。
私と彼は違う。
だから決して彼のような人物にはなれない。
「やっぱり楠木くんはかっこいいよねぇ」
彼から視線をそらさず、また昔のことを考えていると陽菜が口を開いた。
いけない、私はいつまで引きずってるんだ。
過去のことは過去として終わらせるのが一番手っ取り早く忘れられる方法なのに。



