冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「……聞いてんの?」
「き、聞いてるも何も、いきなりどうしたの」



楠木って勉強面で賢いだけ?
他はバカなの?



結構本気で思う。
頭のネジがいくつか飛んでるのかもしれないって。



「いや、普通に俺一人で仕事したからお礼欲しいと思って」



「はぁ?なんでいきなりその話になるわけ?」
「今思い出したから」



ダメだこいつ。
一瞬で涙が引っ込んでしまった。



いや、逆に助かったのかもしれない。
あれ以上の深入りは嫌だったから。



「だから残りの仕事は全部私がするって言ってるでしょ」



「それはお礼にはならねぇ」
「十分なるでしょ?」



「それを決めるのは俺だ」
「じゃあ何が欲しいの?なんか奢ればいい?」



もう面倒くさくなって、どうでもよくなった。