冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「それ以上に大事なものだな」
「……」



それは何?って聞きたくなったけど、深入りは良くないと、ここでようやく自分を抑えることができた。



バスケ以上に大事なもの?
それがこの高校にあるの?



友達関係、あるいは恋愛関係?
それを追求したところでどうにもならない。



「質問、これで終わりか?」
「……っ、ごめん」



こんな風に質問してしまった自分を今更後悔し、楠木から逃げるように立ち上がり帰ろうとした、のだけど……。



「お前だけ聞いて終わりとかダメだから」



そんな私を引き止めるように、腕を掴まれてしまう。



「何?」
「何って、今度は俺が聞く番」



嫌だ、今すぐここから逃げたい。



ぎゅっと、自由の利く手でスカートを掴む。