「好きだけど」



じっと真っ直ぐ見つめられ、あまりにも強い視線から思わずそらしてしまう。



今ので十分伝わってきた。
楠木はバスケが好きなんだって。



中学でもそれがわかってたはずなのに。



「……じゃあどうして?
どうして続けなかったの?


なんでこんな高校来たの!?」



ああ、会いたくなかった。
バスケの繋がりを断ちたかったのに。



「優先順位が変わった。ただそれだけ」
「……え…?」



そらした視線をもう一度楠木に向ける。



私の質問に対し、楠木はまた私をじっと見つめながら答えていた。



表情に曇りはない。



優先順位が、変わった…?



「理由があってこの高校に来たってこと…?」
「ああ、そうだな」



「バカじゃないの!?
バスケ捨ててまで大事なことなの?」



さっきから私の質問ばっかで楠木には申し訳ないけど、止まらない。



これじゃあバスケに未練があるの、バレバレだ。