「図星、か」
私が反応を示さなかったのを見て楠木は察したらしく、また小さくため息をついた。
楠木はもしかしたら、わかっていたのかもしれない。
私が楠木を嫌いな理由を。
それこそ、私がバスケに対してどう思ってるかも全部。
「…ねぇ」
少しの沈黙が流れた後。
その沈黙を破るようにして私は口を開いた。
「もうバスケやらないの?」
私の中で、精一杯優しく言った方。
嫉妬心を抑えた方。
だけどそう考えてしまう自分が何より嫌になってしまう。
「好きじゃないの?」
ここで抑えないと、ぶつけてしまいそうで。
それも全部八つ当たりのようなものだ。
楠木には楠木の考え方があるというのに。
私以上に抱えているものが、もしかしたらあるのかもしれないのに。



