「陽菜、おはよう」
「おはよう!今日も暑いねぇ」



陽菜はふわっと笑った。



その笑顔は私なんかと違い、純粋で真っ直ぐで、透き通って見えた。



「本当に暑いね。
暑いの苦手だから嫌だなぁ」



「あたしも苦手だよ!
でも寒いのも嫌だからな、中ぐらいが一番いいや」



「確かに真冬なんか寒すぎて凍えるよね」



陽菜と他愛のない話をしながら学校へと向かう。



今日の朝は陽菜がいてくれたおかげで、余計なことを考えなくて済んだ。



学校へ着き、上履きに履き替えて自分たちの教室に入る。



そこでも真っ先に視界に入るのは、彼の姿。



今はもう席替えしているから私と陽菜の席は前後じゃなくなってしまったけど、彼とも近いわけじゃないから安心していた。



彼は一番端の窓際の席で、今もぼーっと窓の外を眺めている様子。