あまり楠木とは話さなかったけど、斗真と楠木は仲が良かったらしく、よく一緒に話したりしていた。



普段あまり表情を表に出さない楠木でも、バスケをしてる時、あるいはチームメイトと話している時、よく笑顔が溢れていた。



笑うとどこか幼くなる、眩しい笑顔。



そんな楠木とは接点すらなかったけど、一度だけ彼にバスケを教えてもらったことがある。



『……あれ』



いつも通り少し休憩した後に練習をしようと体育館に戻れば、いつもいる斗真はいなくて。



ただ楠木はそこにいて、練習していた。



斗真を探していると、楠木がチラッとこちらを向いた。



その瞳に思わずドキッとしたのを今でも覚えている。



吸い込まれそうなその強い眼差しが、私を捉えたからだ。



もちろんそこに恋愛感情はない。