冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「…あ、そうだ。
今日文化祭委員で集まりあるって。


先生からの伝言」



この流れでさっきのことを言おうと思い、楠木に伝える。



「ああ、わかった」



それさえも無愛想に返した楠木は自分の席へと行ってしまう。



昨日と態度が違いすぎてもはや笑いものだ。



あ、もしかして私の性格悪いって言葉聞いて怒ったとか?



それならそれで面白いのだけど、楠木に限ってそれは絶対ないだろうな。



「楠木くん、やっぱり怖いね…」



一部始終を近くで見ていた陽菜が、少し怯えた様子でそう言った。



陽菜の目には楠木が怖く見えるようだ。



「あいつが不機嫌なのは元からだし気にすることないよ」



私は陽菜に笑いかけ、席へと戻る。



そして一度楠木の座る席に視線をやると、相変わらず不機嫌そうな顔で窓の外を眺めていた。



今楠木は何を考えているんだろう、なんてらしくないことを思ってしまう私。



きっと、昨日あんな楠木を見たからだろう。



ポーカーフェイスの楠木が、笑っていたのだ。
どうかしたのかと気になるに決まってる。



今だって無表情でぼーっとしているし。
やっぱり昨日のは気のせいだと思いたい。



でもまあこの様子だと今日の放課後は大丈夫かな?なんて甘い考えをしながら、私は授業を受ける準備を始めた。