なのに彼は、どうして……。
「あっ、恵美ちゃんだ!」
その時、誰かに名前を呼ばれてはっと我に返る。
私、また醜いこと考えていた。
そんな自分が嫌で、自己嫌悪に陥りながら振り向くと、そこには同じクラスで友達の添田 陽菜(そえだ ひな)が笑顔で私の元に駆け寄ってきた。
陽菜はふわふわしている小動物みたいで、本当に可愛い女の子。
今だって嬉しそうに私の元へとやってくるから、私の癒しでもある。
陽菜とは席が前後ということもあり、入学式の時からすぐ話すようになって、今じゃ一緒に行動をする友達だ。
そんな陽菜に私は助けられた。
あのまま1人だったら、私はもっとひどいことを考えてしまっていたかもしれない。