「恵美ちゃん!
昨日はどうだった?」
教室に入るなり、陽菜が私に駆け寄ってきた。
思わず全部言いそうになるのを必死で抑えながら、陽菜に笑いかける。
「昨日?
ああ、昨日はスムーズに終わったよ」
まるで昨日のことは忘れていたかのように話してみるけど、忘れるはずなんかなくて。
ただ心配かけさせないように笑顔を取り繕う。
「本当?良かった。
楠木くんと二人、大丈夫だった?」
楠木と二人。
そのワードが出てきて思わずビクッと反応してしまう。
いけない、いけない。
昨日のは夢だ、夢。
「全然平気だったよ。
ほとんど話してないし」
意味不明なことを楠木が喋ってただけであって、会話は成り立ってなかった、ということにしておこう。



