いつまでもその視線から逃げられない。
逃げる方法を知らなかった。



真っ直ぐに見つめられて、まるで心を見透かされてるんじゃないかとさえ思う。



「…離れて」



ようやく口を開くことができたのだけど、自分でも恥ずかしいくらい小さな声になってしまった。



「俺が言う通りにすると思うのか?」



そんな私を嘲笑うかのような言い方をされ、腹が立ったけど抵抗しようにもできない。



「じゃあどうしたらいいって言うのよ…!」



投げやりに言って、ようやく楠木から視線をそらす。



「お前が欲しい」
「…は……?」



「俺はお前を自分のものにしたい」
「ちょ、何言って…」



ふざけているのだと思いまた楠木を見るけど、彼は至って平然としていて、むしろ真剣な表情に見えた。