「恵美なら大丈夫だから、な?
何かあったらいつでも俺に言えばいいから」



「……うん、ありがとう」



彼は意地悪だし、私の照れるようなことをわざとしてくるけど、本当はどこまでも誰よりも優しい人だって知ってる。



今だって私の心配ばかり。



「……ねぇ」
「ん?」



「秀哉も、頑張ってね。


期待されてしんどい思い、するだろうけど…その時は私が支えるから」



きっと私なんかより、彼…秀哉はプレッシャーを与えられるだろう。



なのに私のことばかり考えてくれるのだ。



「……ああ、ありがとう。


お前が隣で笑ってくれてたら、なんでも大丈夫そうな気がする」



「何それ、絶対そんなことないよ」
「そんなことあるな」



秀哉の表情も、私の表情もふっと和らぐ。



そして今度こそ、私たちは別れてそれぞれの入口へと向かった。