「ずっとあんたのこと嫌いって言ってたから、あんたはもう私のことなんか好きじゃないかもしれ…きゃっ…！？」
まだ話してる途中だというのに、体を引かれて楠木の方に傾いてしまう。
そしていつの間にか、楠木の腕の中に私の体が収まっていた。
「……それ、本気？」
ゾクッとした。
その低い声に、真剣さが伝わってきて。
体中熱くなる、熱がまわる。
「……っ、好きだよ、あんたのこと…もう自分でも驚くくらい」
楠木の手に力が入る。
苦しいその抱きしめ方が、今の私にはちょうどいい。
「…いきなりすぎんだろ」
「仕方ないじゃん…気づけば声に出してたから…」
「何それ、可愛すぎ」
「可愛くない……」
それよりも私は、楠木の返事が聞きたい。
楠木の腕の中で顔を上げてみれば、その距離は近かった。
