「……斗真はね、高校で期待されてるの。
次期エースを担う相手だって。
練習試合があるたび、他のチームにも注目されて名が広がっていって。
斗真、頑張り屋さんだからね、公式戦の前にスタメンに選ばれたの。まだ一年なのに」
私の知らない間で、斗真はずっと頑張ってた。
強豪校なのに、一年でスタメンに選ばれるなんて相当な努力を要したはずだ。
「だけど、斗真は……斗真はね、試合に出場することを辞退した。
ユニフォームを監督に返したの。
それってどういう意味か、バスケをしてたあなたにわかるでしょ?」
ドクドクと脈打つ音が、また速くなる。
氷室さんの言葉を聞いて、全身が石のように固まった。
「斗真は、今もずっと悩んでる。
自分はバスケをするべきじゃないって。
辞めた方がいいかもしれないって。
それぐらいずっと思い詰めてるの。
あんたが…あんたのせいで…!!」
氷室さんの大きな瞳から、涙がこぼれ落ちる。



