大体楠木も楠木だ。
何簡単に触られてるの!?



なんて、一人で勝手に嫉妬してる自分がバカらしく思えてきた。



なるべく見ないようにするけど、視界に入ってしまうわけで。



「あの人かっこいいねー」
「写真お願いしようよ」



終いには逃げ出したくなる。



なんだかせっかくの文化祭で、楽しむべきなのに全然楽しくない。



高校初めての文化祭なのに。



それに今日は斗真も来て、ちゃんと話しをしてケジメもつけるって心に決めたのに。



それから、今日……楠木にもちゃんと自分の気持ちも伝えようって、思ってたはずなんだけどな。



一気に自信がなくなってしまう。



「……はぁ…」



やっぱり私と楠木は釣り合わないよね。



「何ため息ついてんだよ」
「きゃっ…!?」



いつのまに私の近くにいたのだろうか。
楠木が私の顔を覗き込んできた。



その整った顔が目の前にあり、一瞬にして顔が熱くなってしまう。