あれ、どうしてだろう。
こんなにも胸が苦しくなるのは。



この感じ、知ってる。



そう、これは斗真と付き合う前の気持ち。
斗真に片想いしていた時の……。



じゃあ、私…もしかして。



思わず顔を上げて、楠木の方を見る。



「……どうした?」
「う、ううん…なんでもない」



またすぐ楠木から顔をそらす。



顔が熱い。
ああ、気づいてしまった。



私…きっと前から楠木のこと…好きになってたんだと。



一気に熱が体中を駆け巡り、もう楠木を見れなくなってしまう。



「……まあ、お前が斗真とヨリ戻したって聞いたら絶対嫉妬するだろうけど、お前が笑顔でいられるならそれでもいい」



楠木の低い声が、はっきりと耳に届いた。



嫉妬…私が斗真とまた付き合ったら、楠木は嫉妬するの?



じゃあもしかして、楠木はまだ…。



楠木の方を向こうとすれば、その前に肩を抱かれて引き寄せられてしまう。