ーーー「大丈夫だったか?」
体育館に戻るなり、楠木が私の方を見てそう言った。
そんな楠木の表情を見て、悠真くんのお兄さんが斗真だと知ってたんだなとわかった。
「……知ってたんだね」
「まぁな。言ったらお前、悩むかと思って」
確かに、予め言われていたら悩んでしまったかもしれない。
すると楠木が私の元にやってきて、今度こそ体育館を後にした。
「……ありがとう」
帰り道。
もうほとんど日が沈み、薄暗かったけど全く心細くなかった。
それは隣に楠木がいるからだ。
「は?なんでお礼なんて」
「斗真と話をしようって思えたのは、楠木のおかげだから」
きっと私だけならこれから先、斗真と話すことなんてできなかったと思う。



