冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「……お母さんだ。
じゃあね、お姉ちゃん!


またバスケしよう!」



悠真くんはそう言って、先に駆け出してしまう。



取り残された私たちの間には気まずい沈黙が流れた。



「……あっ、えっと…じゃあね」



別れの挨拶を途切れ途切れしか言えない私。



いくら前に進もうとしても、どうしても斗真とうまく話すことはできない。



「恵美、待って…!」



背中を向け、体育館に戻ろうとしたら斗真に呼び止められてしまう。



だけど不思議と怖くはない。



前の私は中学の時を思い出して、震えて、楠木に助けてもらったのに。



今なら、斗真の方を向こうと思えた。



「……どうしたの?」



振り向いて斗真の目を見れば、その瞳は揺らいでいて。



「やっぱり話がしたい…今日は無理だけど、実は俺、今度恵美の高校の文化祭行くんだ。


恵美の高校に友達がいるやつがいてさ、それで行くってなったんだけど…その時、俺に時間くれないか?」



だけど最後は語尾を強くして、真っ直ぐ私を見つめてきた。