「うー…わからない…」
紙とにらめっこをするけど思い出すわけもなく。
楠木の存在をすっかり忘れ、一人考えていると…。
「……ふっ」
小さな笑い声が聞こえてきた。
パッと顔を上げてみると、楠木が私を見つめながら笑っていた。
久しぶりに見た、楠木の笑顔。
思い出した。
楠木はこんな風に笑うんだって。
例えば、バスケの試合に勝った時。
普段はクールで大人びているけど、笑うときはどこか幼くなる。
「それ、もうさっき集計してたやつだけど」
まだ表情を和らげながら、私が持つ紙を軽く指差して言った楠木。
恥ずかしくなって一瞬で顔が熱くなる。
本来私が覚えてないといけないのに、他人に言われるなんて…恥ずかしい。



