冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「ほら、悠真も早くやろう!」



今度は先週、楠木と戦っていたカズくんも誘いにやってきた。



悠真くんは目を見張り、涙が何度も頬を伝っている。



「……悠真くん、みんなは悠真くんと一緒にバスケやりたいんだよ。


“大人の声”より、一緒にバスケしてる子たちに耳を傾けてみて?」



きっと悠真くんとお兄さん、二人を比べているのは大人の人たちだろう。



こんな純粋な子たちが、比べることなんて言うはずがない。



「でも、俺…サボってばっかで」



「そんなの関係ないよ!亜紀は悠真くんと一緒にバスケやりたい!」



にこっと満面の笑みを向けられ、さすがに悠真くんの目が揺らぐ。



「私もやろうかな」



「えっ!お姉ちゃんもやるの!?
じゃあ悠真くん尚更やろう!」



最終的に亜紀ちゃんが悠真くんを引っ張り参加する形になったけど、突然悠真くんが私の方を向いた。



「お姉ちゃん」
「……どうしたの?」



「ありがとう。
俺、もう一度頑張ってみる。


今日、お兄ちゃんに謝るんだ」



その目はもう揺らいでおらず、強く決心の意が込められていた。



やっぱりすごいな、決心が早い。
純粋な悠真くんは、ふわっと優しく笑う。



悠真くんの笑顔が見れて、嬉しいはずなのに。
どうしてだろう、その笑顔が。



『恵美、試合お疲れ様』



斗真と重なったのは、気のせいだろうか。