それから少しすると、あっという間に私たちの周りは子供たちで溢れかえってしまう。
子供たちが私たちを見てわいわい騒いでいる中、ふと体育館の端に座る男の子の姿が目に入った。
暗い表情をしながら、隅の方で縮こまっている。
それがすぐに楠木の言う悠真くんだとわかった。
「ほら、集まってないで始めるぞ」
楠木の言葉で子供たちはぶーぶー言いながら練習を始めるためバラバラと散っていく。
「多分わかったと思うけど、あの端にいるやつが悠真」
「……うん、わかった」
それだけ言い残して、私は悠真くんの元へと歩く。
「ねぇ、隣座ってもいい?」
「……え…」
私が少し屈んで話しかければ、悠真くんは驚いたように眼を見張る。
ただその表情が、誰かと似ているような…そんな気がしたけど今はそれどころじゃない。