冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「別に俺の前でなら好きなだけ泣いていいけど、一人で泣いてたら絶対変な奴に捕まるからな」



昨日と似たようなことをまた言われてしまう。
楠木って心配性なのだろうか。



「大丈夫…あんたがいるから」



でもね、楠木がそばにいてくれるのなら、本気で大丈夫だと思えた。



不思議だ。



さっきまで楠木にひどいことしたって、自分最低だって思ってたのに。



今はもう頼ってしまってる。



だけど楠木と一緒にバスケをしたいって、思ったんだ。



乗り越えられるような、そんな気もした。



「……それ、わざと?」
「えっ…?」



「こう見えて俺、結構我慢してんだけど」
「何が…?」



キョトンとする私に対し、楠木はため息をつく。