冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「今すぐじゃなくていいから」



涙が邪魔をして、うまく言葉が出てこない。
だけど何度も頷く。



素直に嬉しかった。
そう言ってくれて。



こんな私だけど、一緒にバスケをしたいって言ってくれて。



支えたいって、私にはもったいないくらいの言葉も伝えてくれて。



楠木の真っ直ぐすぎる想いが、心に響く。



応えたいと。
楠木の気持ちに応えたいと、この時強く思った。



さっきまでずっと私を支配していた重く暗い感情が、だんだんと薄れ、消えていく。



まるで楠木の言葉は魔法のようだった。



楠木の手が私の頭を撫で、下におりていく。
そして私の濡れた頬に手を添えた。



「昨日から、泣きすぎ」
「……だって…」



楠木が笑った。
呆れも含まれてるような、だけど優しい微笑み。