冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。





「…なんだよその顔」



その顔って言われても、驚いた顔ですけど?
なんであんたがいんのって。



「帰らないの?」
「は?」



「別に帰って大丈夫だよ。
こんなの1人でできるし」



どうしても楠木と二人きりなんてごめんだ。



教室を見渡せば、ちょうど最後の一人が教室を後にして完全に楠木と二人きりになる。



一刻も早く帰ってほしかった。



なんなら私が帰りたいぐらいだけど、そんなの許されるはずがない。



「お前、バカ?」
「……はぁ?」



そんな私を突然バカ扱いしてくる楠木。
腹立つよりも驚きの感情の方が先だった。



「普通に一人とか無理だろ」
「別にできるけど」



「一人だと不都合なことが多いだろって意味」



そう言って楠木は前の席の椅子を私の方に向けて座りだした。



そして私の机に肘をつき、自然と距離が近くなる。
どうやら帰る気は無いらしい。