冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「それに俺は、お前が苦しそうな姿を一番見たくねぇんだよ」



これだ。
きっとこれが楠木の本音。



だけどこれも私のことを優先した言葉だった。



「……お前ってさ」
「何?」



「バスケ、嫌いか?」
「……っ」



突然の質問に戸惑ってしまう。
だけどそれ以上に、言葉に詰まってしまった。



前までの私なら『そんなわけない。バスケが好き』って即答できた。
それに少し前までの私なら『大嫌い』って答えられた。



だけど今の私は……そのどっちも答えられない。
一番中途半端だ。



私は今バスケのことをどう思っているのだろう。




わからない。
自分のことすらもわからなくなっている。



「俺はさ」



私が返事をする前に楠木は話しだした。
そのため、私自身安心する。