ふと顔を上げれば、一瞬のうちに唇を塞がれる。
いつもみたいに強引だったけど、今はそんなことどうでも良かった。
そう思ってしまうくらい、私は弱かった。
これがどれだけ最低なことか、わかってるはずなのに止めることができなくて。
繰り返されるキスに、ただ身を任せる。
ここが外だとか、それでさえも気にならない。
だんだんと頭が回らなくなる。
息が苦しくなって、思わず楠木のシャツをぎゅっと掴んだ。
ああ、どうしてこうなってしまったんだろう。
こうなりたいって、望んだわけじゃないのに。
もう何も考えたくないのに、酸素が足りない頭でまだ考えてしまう。
どうせなら、このままめちゃくちゃにしてほしい。
それぐらいの気持ちだった。
だけど自分のことしか考えられないこの頭が醜くて、涙は止まらない。



