冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




だけど一刻も早くこの輝かしい場所から逃れたくて、楠木の方を一切見ずに体育館を後にした私。



外はまだ薄明るく、さすがは夏の夕方だ。



できれば真っ暗の方が都合が良かったのだけど、諦めて駅へと向かう。



ただあまり知らない道のため、どこを通って帰ればいいのかわからない。



そのくせにスマホのマップを見ようとも思わず、適当に歩いていた。



その途中にも私の頭の中は、過去のことばかり。



楽しかったこと、苦しかったことが同時に思い出され、結局苦しいマイナスな感情が勝ってしまう。



ああ、嫌だな。
こんな自分が。



みんなはもう中学のことなんて、“ただの思い出”として終わらせてることだろうな。



斗真も、高校のバスケでいっぱいいっぱいなんだろうな。



なのに私は、一人で道を彷徨ってるなんて、どれだけダサいんだろう。