冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




ダメだった。
結局無理だった。



ボールを拾わないといけないのに、それができないほどに。



やっぱり私はまだ、過去に囚われてる。



いいことも、できれば思い出したくないことも全部、一つの過去として括られ、そして悪い方へと縛られたままだった。



「……なんでだろ…確かに目が痛いって、思ってたんだよね…」



心配かけさせたくないし、何より空気を悪くしたくないから無理矢理笑う。



引っ込め、涙。
泣くな、私。



「ごめん、私帰るね。
今度こそ、バスケ一緒にしよう…?」



「本当…?」
「お姉ちゃん、俺たちと約束してくれる?」



まだ心配そうに見つめてくる二人に、もう一度笑ってみせる。



「うん。
だから、楠木に言っといてもらっていい?」



「わかった!」
「絶対だよ?」



二人とも、嬉しそうに目を輝かせて頷いてくれた。