思わず目をそらそうとしたら、楠木がふっと目を細めて幼く笑う。
その笑顔は本当に心臓に悪くて、胸が痛いくらい。
さすがの子供たちも、その笑顔にやられたらしく静かになる。
「…お前ら、どうした?
始めるぞ?」
当の本人はその事実にもちろん気づくはずもなく。
すぐいつもの楠木に戻った。
「……秀哉くんが、可愛く見えた…」
「うん、本当にね」
「同じ子供に見えたよね…」
「は?何わけわかんねぇこと言ってんだよ。
早く始めるぞ」
もしかして楠木って意外と天然?
抜けてる感じがする。
周りがどうしてそんな反応をしているのか、気づいていない。
そうこうしているうちに、男の子がバスケットボールを手にとった。
これはどうやら始まる合図らしい。
周りが息を呑むのがわかった。



