「こいつは見学」
「えーっ!亜紀、お姉ちゃんと一緒にやりたかったぁ」
悲しい顔をする亜紀ちゃんに、胸が締め付けられる。
だけど、勇気がない私は意気地無しだ。
「俺が教えてやるからいいだろ?」
「むー…亜紀、お姉ちゃんも欲しかったもん」
「俺もお姉ちゃんみたいな綺麗な人なら欲しかった!」
「おい、隆盛。
それ以上は何も言うな」
「あーっ!秀哉が怒った!
ヤキモチだヤキモチ!」
さすが今時の子供は、なんでも知ってる。
別に楠木がヤキモチを妬いたわけじゃないのだろうけど。
「あはっ、秀にいが怒ってる、珍しい」
「珍しいな!」
どうやらさすがの楠木も、子供には敵わないらしい。
純粋な子供に押されっぱなしの楠木を見て笑いつつ、少ししてバスケの練習が始まった。



