冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




ーーー「楠木、いつもありがとうな」



体育館に入るなり、真っ先に先生らしき人に話しかけられる楠木。



「いえ、大丈夫です。
あの、悠真(ゆうま)は今日も来てませんか?」



悠真…?
どこかで聞いたことあるような、ないような名前。



珍しい名前ってわけじゃないから、きっとどこかで聞いたことあるんだろうと思い、一人で納得する。



「ああ、今日も来てない」
「…そうですか」



「仕方ない、悠真だって苦しいだろうし。
ところでその隣の綺麗な女の子は?」



さっき隆盛くんにも綺麗なお姉ちゃんと言われていたけど、子供だからフィルターがかかっていると思い、何も言わなかった。



だけど大人にまで言われてしまうと、さすがに反応に困る。