冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。





思わず間抜けな声が漏れてしまい、楠木が怪訝そうに眉をひそめる。



「…他に良いやり方でもあるのか?」



「い、いや?
別にないから…それで良いんじゃない?」



びっくりした。
いきなり楠木が話しかけてくるものだから。



ほとんど話したことがないというのに、さらりと話しかけられるってことはそれほどの人間としてしか見られていない証拠だ。



なんなら私と同じ中学出身だってことも、私の存在も認知してなかったりして。



確率はゼロではない。



「先生、何か紙とかありますか」
「…あ、ああ。紙だな、用意してくる」



さすがの先生も今の楠木を見て驚いていた。



それもそのはず、面倒くさそうにすると思っていたからだろう。



楠木が前に立っているからかはわからなかったけど、いつも騒がしい教室が今日はやけに静かだった。