冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「…お前も、やるか?
バスケ」



「えっ……」



まさか誘われるとは思ってなくて、素直に驚いた。



「今日はこれ目的で誘ったんだけど…まあ、無理しろとは言わねぇ。


嫌なら見るだけでもいい。
これがまず第一歩だな」



じゃあ私のために、ここに連れてきてくれたの?



でも…私は。
私はどうしたいんだろう。



「……ごめん、まだバスケする勇気はない…けど、バスケするの見ておこう、かな…」



せっかく楠木が私のためを思ってくれたのだ。
無駄にはしたくないし、それに…。



逃げてたって何も変わらないから。



「へぇ、偉いじゃん。
帰るって言わなくて」



何故か頭を撫でられ、子供扱いされてしまう。



「ちょっと、やめてよ…!
帰るなんて悪いし…」



楠木を見れば、嬉しそうに笑っていた。



まるで自分のことのように喜んでくれてるのが、なんだか嬉しいような、心が温かくなる。