冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「……あっ!
じゃあ俺、綺麗なお姉ちゃんに抱っこしてもらう!」



そう言って、隆盛くんが私の元にやってきた。



可愛い。
思春期に入る前だから、素直だ。



「ダメだ、こいつ力ねぇから」



正直バスケをしていたし、いけるよね…?と思い肯定しようとしたら、その前に楠木に遮られた。



「はぁ?いけるし」
「俺が嫌だから」



「なんでよ?」
「お前に触れていいのは俺だけ」



「……っ、何子供みたいなこと言ってんの?」



こっちの身にもなれっての。
恥ずかしすぎる。



「ラブラブだ…」
「ラブラブだね、よしっ、隆盛歩こうか!」



「そうだな!
二人のラブラブ邪魔したらダメだしな!」



子供って本当に明るくて無邪気だ。
そんな大きな声で言われたら、恥ずかしさが増す。



そんな私の手を、楠木がそっと握った。



「ちょっ…」
「少しの間だけだから」



な?と優しく言われてしまえば、黙るしかない。



ダメだ。
急に優しくされるのに、まだ慣れない。



耐性をつけなければ、と思いつつ、私も少しだけ手を握り返した。