冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「……」



さらには口を閉じたまま。



これは勝手に帰っていいのかな、と思いつつ背中を向けようとしたその時。



「……なぁ」



低い声が、耳にはっきりと届いた。



「何?」



いつもなら、早く帰りたいんだけど?って一言付け加えるのだけど、楠木の表情は未だに無表情というか真剣だったからそれ以上何も言えない。



「明日」
「えっ…?」



「明日、放課後予定あるか?」
「予定…?」



これは、何?
デートの誘い、みたいな?



それとも前みたいに文化祭の買い出し?



「明日はないよ、予定」



多分後者だろうと思い、予定はないと伝える。



「じゃあ、明日空けといてほしい」



いつもの楠木なら強引に連れ出すくせに、やけに改まってるから逆に怖くなる。



何があるんだろうって。



だけど楠木が真っ直ぐ見つめてきたから、余計なことは言わずに肯定だけする。



「わかった、空けとくね」
「ああ、さんきゅ」



やけに落ち着いてる楠木を見て、少し…いやかなり、明日何があるのかと不安になった。