冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




半ば呆れつつも、手をつながれていることに何も抵抗せず結局駅まで歩く。



改札を通った後は、私から手を離してやった。
さすがに電車の中までそのままだなんて無理だ。



だから電車に揺られてる間は、平和に過ごせた。



お互い何も話さず、この間みたいな寝るという失態は犯さないよう我慢して自分の駅に着くのを待った。



そして、もうすぐ駅に着くとなったところで、私より先に楠木が立つ。



「……何立ってんの?」
「何って…お前の駅だろ?」



「そうだけど、何?
まさか送るとか言わないよね?」



そんなの嫌だ。



ただでさえ今の今まで緊張の糸が張り詰めてて、たくさん体力を使ったのに。



帰るだけでこんなにも疲れるって初めてなんだけど。



「……嫌って言ったらまた家連れ込むぞ」
「む、無理…!」



家に連れ込むぞだなんて、なんという言葉遣いだ。
一気にこの間のことが思い出され、恥ずかしくなる。