「あんたのせいでもうバレたじゃん…」
「そういうもんだろ」
「あんたのせいだって言ってんでしょ!?」
こいつ一ミリも悪いと思っていない。
なんてタチの悪いやつなんだ。
「いつかはバレるし、広まってくれた方がありがたいし」
「は?何で?」
「独り占めできるから」
ニヤッと、悪そうな笑みを浮かべられる。
その笑みでさえ、胸が高鳴ってしまう私の方が重症かもしれない。
「あんたのものじゃないし…」
「俺のもんだろ」
楠木はそう言うと、私の手を握る。
「ちょっ、場所考えて…」
「他の場所なら手つないでもいいんだ?」
「……っ」
私は何回こんな失敗をしてしまうのだろうか。
情けない。
「……本当にお前って可愛いな」
ぼそっと呟いてから、楠木は私の手を引いて前を向いた。
なんで…なんでそういうこと、今言うかな。
本当に恥ずかしくて、ドキドキしてしまう。
平常心を保とうと心がけても、無理なものは無理だ。
ただ楠木が前を向いてくれているおかげで、今の表情は見られなくて済んだ。



