冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




「気になるなら本人から聞けば?」



その時、楠木のどこか楽しげな声が聞こえてきた。



そして楠木を囲っていた人たちが一斉に私の方に視線を向ける。



こ、こいつは…!
絶対思い通りになってやるものか。



楠木に逆らうため、私は動じないふりをして笑顔を作る。



「無理矢理こいつ…楠木くんに付き合わされただけだよ?


ひどいやつだよねぇ、困っちゃう」



思いっきり棒読みで、下手くそな演技をしてやった。



これで信憑性がなくなったはず。
我ながらすごいと思っていたのに…。



「無理矢理って、お前すっげぇ顔真っ赤で照れてたけど?俺がキスした時」



「なっ……!」



明らかに今言わなくてもいいことを言ってきて、顔が熱くなってしまう。



楠木の言葉の上に、私のこの反応のせいで結局また騒がれてしまい、まさかの逆効果。



「恵美ちゃん、じゃあ本当に付き合ったんだね…!」



何故か陽菜の目がキラキラと輝いている。



「なんで嬉しそうなの…!?」
「本当はね、二人お似合いだと思ってたの」



にこって眩しい笑顔を向けられ、もう何も言い返せない。