「ご…ごめん…」



会って早々やらかしてしまった。



慌てて離れようとしたけど、また電車が大きく揺れ楠木にしがみつく形になる。



そんな私の様子を見て、楠木がため息をついた。
そして私の肩を抱く。



「く、楠木…」
「これならまだ恥ずかしくないだろ」



どうやら私の心配をしてくれての行動らしかった。



距離こそは近かったけど、抱きしめられてるわけではないためまだマシだった…と、思いたいけれど。



内心は相変わらずドキドキうるさくて落ち着かない。



「なあ」
「な…何」



「大丈夫だったか?」
「え…?」



何を言われるのかと構えていたから、予想外の言葉に戸惑ってしまう。



「この間のこと」



その言葉が何を指しているのか。
ようやくわかった。