「本当は…話聞いて、もういいよって……言ってあげないと、いけないのに…なのにそれが、できなくて…心からそう思えなくて………バスケ、斗真が続けてるのも、辛くて…」
止まらない。
止まらなかった。
口にしてしまうことで、自分がどれだけ醜く最低かがわかってしまう。
楠木に幻滅されるかもしれない。
引かれるかもしれない。
でも、止まらなかった。
涙と同時に溢れる思いは、全部がひどい。
そんな私の涙を拭い、楠木は真っ直ぐ見つめてきた。
「そんな気持ちになるの、当たり前だろ。
それでもわかってるってだけで、お前は十分偉いし優しいしよ。
本当に最低なやつなら、きっと暴言吐いて相手にぶつけるだけぶつけてる。お前は何も言わなかった。良心と戦ってたんだ。
それはすごいと思う。
だから落ち込むな、自分を責めるな」
今度は頭を撫でられる。
今の私に、楠木の言葉はもったいないぐらいで、さらに涙が溢れてしまった。