嫌だ、こんな自分が。
お願いだから何か言ってよ、私…。
「…そうだよ、謝りたい。
ちゃんと恵美に謝りたい」
斗真の言葉に顔を上げれば、涙で歪む視界からうっすらと見える斗真の切なげな顔。
斗真は今、私に謝りたいって言った…?
なんで?どうして?
あの時の選択に対して、謝りたいの?
頭が混乱する。
このまま気絶した方がマシなんじゃないかってくらい、中学のことが思い出されて。
確かにあの日、あの時。
斗真ははっきりと私を拒絶した。
思い出したくないのに。
このまま忘れてしまいたいのに。
「……お前はあの日、こいつを捨てたんだ。
バスケをとったんだ。
そんな奴が今更こいつに何を謝るって言うんだよ。
こいつがどれだけ傷ついて、今も苦しんでるのかお前知らねぇだろ?」
「ちょっと、あなた斗真くんに何言って…」
「お前は許してもらって自分が楽になりたいだけなんだよ。そんな甘い考え通ると思うなよ」
楠木は、斗真の返事を聞かずに私の腕を引いた。