『私のことはもう気にしないで、どうか忘れてほしい。
高校でもバスケ、頑張ってね。
応援してるから』
たとえ嘘でもこの言葉を言えたら、斗真も私のことを忘れられるかもしれないのに。
ねぇ、斗真は何を考えてるの?
私と何を話したいの?
謝りたいって、思ってるの?
斗真は悪くないのに?
だけど、もし謝られたら…って考えたら、きっと『いいよ』って許す言葉すらも私は言えないと思う。
それくらい、狭い人間なんだ。
ああ、逃げ出したい。
このまま二人の前から逃げ出したくてたまらない。
そう思っていたら、突然誰かに腰に手をまわされて私の体が引き寄せられた。
……楠木だ。
黙って私たちの様子を見ていた楠木が、間に入ってきてくれたのだ。



