冷たい彼の溺愛は、2人きりのときに。




ああ、ダメだ。
さっきまで上手く笑えていたのに。



明るい気持ちでいれたのに。
また黒い気持ちが湧き上がってくる。



「……恵美…、秀哉…」



そして約一年ぶりに、斗真に名前を呼ばれた。
どうしようもなく胸が苦しくなる。



『恵美』って、優しく笑いながら呼ばれることはもうない。



「……めぐ、み…」



女の子が私の名前を聞いて、はっとしたように斗真の方を向いた。



斗真を見るのが辛くなって、思わず俯いてしまう。
やっぱり私は弱い。



「……恵美」
「……っ」



すると今度ははっきりと名前を呼ばれた。



「と、斗真…久しぶりだね…こんなところで会うなんて…」



わざと明るく話そうとするけど、声が震えてしまう。